歯肉炎と歯周病の違いは?治療期間はどれくらい?
歯肉炎とは?
歯肉炎=歯周病の初期段階
歯肉炎とは、歯の周辺組織(歯周組織)のひとつである歯茎が赤く腫れて炎症を起こしたり、歯茎から血がでたりする病気です。歯肉炎は歯周病です。歯周病の初期段階が歯肉炎と呼ばれています。
歯肉炎と歯周炎は別物
勘違いしやすいのですが、歯肉炎は「歯周炎(ししゅうえん)」ではありません。歯周炎とは、歯茎だけではなく歯を支えている顎の骨(歯槽骨)が歯周病菌によって溶けた状態を指します。歯肉炎は初期段階の歯周病であるのに対し、歯周炎は中程度以上の歯周病に分類されます。
歯肉炎の原因
歯肉炎は、歯と歯茎の境目にある歯周ポケットという溝の中にひそむ歯周病菌によって引き起こされます。 歯磨き不足など、お口の中を不潔にしていると歯の表面に付着しているプラーク(歯垢)の中の歯周病菌が増殖、歯周ポケットに侵入します。この歯周病菌を排除しようとして歯茎の免疫細胞が過剰反応を起こし、歯茎が腫れたり出血が起きたりします。これが歯肉炎を発症するメカニズムです。
歯肉炎が治るまでの期間は?
歯肉炎の段階で治すことが重要
歯肉炎は歯周病の初期段階です。虫歯でもそうですが、歯周病も初期段階である歯肉炎のうちに早期発見・早期治療を行うことが重要です。歯周病は病気の症状が進んで中程度以上の歯周炎や重度の歯周炎(歯槽膿漏)になってしまうと、大がかりな治療(再生医療や移植手術など)が必要になります。重度歯周炎になると歯を残せず、抜歯となるケースも多くなってしまいます。
ケアが順調に進めば2~3週間程度で治ることも
歯肉炎は毎日しっかりとプラークコントロール(歯磨きおよび歯間清掃)を行い、合わせて歯科医院で歯周病メンテナンス(歯周ポケット内部のクリーニングや歯石取り)を受けることで完治が可能です。歯肉炎が完治するまでの期間は患者様や症状によって異なります。毎日のセルフケアと歯科医院でのメンテナンスが順調に進めば、早くて2~3週間程度で治ることもあります。
歯肉炎を放置するリスク
歯肉炎の放置は歯周病を悪化させる
歯肉炎を治療せずに放置すると、歯周病が悪化します。歯肉炎が進むと中程度歯周病の歯周炎になります。歯周炎になると歯茎の腫れや出血にとどまらず、歯茎から膿がでてきます。歯茎が大きく下がり、歯の根面が露出します(歯が長く見える)。さらに病気が進むと重度歯周炎(歯槽膿漏)になります。重度歯周炎になると歯を支えている歯槽骨が大きく溶けてしまい、歯がグラグラと不安定になったり、物を噛むと強い痛みを感じたりするようになります。その他、何をしていなくても強い痛みを感じる、卵や玉ねぎが腐ったような強い口臭がする、などのさまざまな症状がでてきます。最終的には歯が自然に抜け落ちてしまうこともあります。
脳梗塞や心筋梗塞、肺炎を引き起こすことも
歯周病は放置すると身体全体に悪影響をおよぼします。重度歯周炎を放置すると歯を支えている顎の骨が溶け、顔の形が変わることもあります。さらに放置を続けていると、今度は顎の骨の中を通る血管内部に歯周病菌が侵入し、血液に乗って身体中をかけめぐります。そして、全身に散った歯周病菌は血管の内壁に取りついて血栓を作り、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす原因になることがあるのです。
これはまだ完全に解明されてはいないのですが、歯周病菌は肺炎(誤嚥性肺炎)の原因になることも指摘されています。理由は、誤嚥性肺炎の患者の肺の中から通常は見られない歯周病菌が発見されるケースが多いためです。このような理由から歯周病菌と肺炎には何らかの因果関係があるとされています。
早産や骨粗しょう症とも深い関係が
歯周病は上記の循環器系や呼吸器系の疾患だけではなく、早産のリスクを高めたり、骨粗しょう症の進行を早めたりするとされています。これらはまだ完全には解明されてはいませんが、どちらのケースにおいても体内から歯周病菌が発見されており、強い関連性があると考えられています。
まとめ
歯肉炎を治すためには、まずは患者様ご自身がしっかりとプラークコントロールを行うことが大切です。毎食後の歯磨きの際には毛先の細い歯ブラシを使い、歯周ポケットに対して45度に毛先を当て、歯周ポケット内部の汚れやプラークをしっかりかきだすようにしてください。デンタルフロスや歯間ブラシなどの歯間清掃用具も合わせて使いましょう。 ご自身でのセルフケアに加え、歯磨きだけでは汚れを落としきれない箇所は歯科医院でクリーニングを受け、綺麗にすることが重要です。歯石も自分では取りきれないため、歯科医院でスケーリングを受けることで歯肉炎の完治および歯周病の進行予防につながります。 当院では、歯科衛生士を担当制にしております。初診から治療が終わるまで同じ歯科衛生士が担当することで、お口の変化に早く気づけたり、コミュニケーションがスムーズにとれたりするメリットがあります。予防のための歯科治療なら、当院におまかせください。
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